ナニワのスクリーンで映画を観るということ。

大阪の映画好きゾンビまんです。 映画館のスクリーンで映画を観るということ。

Category: 映画 「ウ」

私は週末の度にシネコンへ行く悪い癖があるのだが、ここ数か月、そのシネコンへ行く度に見せられ、聴かされているのが映画『ウイッシュ』の挿入歌。
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「ウィッシュ~この願い~」

https://www.youtube.com/watch?v=EweM_Ei8yBw

 これね、生田絵梨花さんの歌唱は全然悪いとは思いませんが(まあ、ディレクターの指示通りに歌ってるだけやと思うからこそ)、この直訳&棒読みを強いられているような翻訳、ちょっとセンスなさ過ぎやと思いませんか?
一番肝心な歌メロのリズム感が損なわれているから、ヘタなラップみたいな歌唱になっていて、いつもシネコンで見せられる度にノリにくいんですよね。私はそう強く感じます。気のせいなら良いのですが……

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2023年7月9日、日曜日、シネ・リーブル梅田の様子です。
この日の私は珍しく夕方からの活動で。
朝マックに行った後は、仕事に行った嫁さん以外の男二人と一羽(うさぎ)、ず~~っと家で寝てた(汗)・・・。
で、その間ず~~っと雨が降ってました。
ちょうど、夕方起きてシネ・リーブル梅田に向かおうとすると、帰宅した嫁さんに、「今、雨あがったで」と教えられ、ラッキーでした。大阪では一週間限定公開の短編『うまれる』、まずまずお客さん入っていました。



『うまれる』
解説: 娘の命を突然奪われた母親の悲劇を描く短編ドラマ。いじめに遭っていた娘を助けられなかった母親が、ある日亡くなった娘の死の真相を知る。監督などを務めるのは『あの娘の神様』などの田中聡。青年座、文学座、俳優座、演劇集団円、テアトル・エコー放送映画部など新劇5劇団所属の女優7人による演劇ユニット「On7(オンナナ)」のメンバーである安藤瞳、保亜美、 渋谷はるか、小暮智美、吉田久美、尾身美詞、宮山知衣らが出演する。

あらすじ:小学5年生の安川裕美は、天然パーマを理由にクラスメートたちからいじめられていた。床屋を経営する母親の良子(安藤瞳)は、娘が髪の毛のことでいじめられているのを知りながら、忙しくて何もしてやれずにいた。そんな折、裕美が崖から転落死するという事故が起き、良子は娘はいじめが原因で亡くなったと訴えるものの、彼女の言うことに誰も耳を貸そうとしなかった。

(はい!この記事は超マイナー映画の紹介ですので、基本はネタバレしています。観覧注意で)


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この超マイナー短編映画は、劇場で手に取ったチラシのインパクトが強烈だった。血だらけのおばさんのアップですから。
そういう映画が33分の短編で、しかも海外で賞に輝いているとなれば、見逃すわけにはいきません。
この映画は宣材のデザインと同じ、主人公である良子の血だらけアップから始まります。

子供を亡くした親が集まるセラピーに参加する良子。他の参加者たちが事故や病気で我が子に先立たれた苦悩を吐き出すなか、良子だけは、「私の娘は学校でいじめられて殺されたんです」と発言し、周囲を驚かせる。
そのセラピー主催者のおばさんが、「私なら良子さんを救えます」と、後日、良子がひとりで経営する床屋を訪ねてくる。
ところが、そのおばさんが「私ならあなたを救える」という中身が宗教への勧誘だと知った良子は激怒し、ハサミを手におばさんを追い払う。
そんな良子を心配するママ友が、娘を連れて髪を切りに来た。
その娘から、良子の娘・裕美が、クラスの女子たちから天然パーマを理由にいじめられ、「飛べ」と崖から突き落とされたという事実を聞かされたものだから、さあ大変!
目玉が飛び出さんばかりに激怒した良子は裕美が墜落死した現場に、いじめに加担したいじめっ子たちを集めて並ばせ、衝撃の真実を全て聞き出す。

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当然、そんな良子の行動は問題視され、学校で話し合いの場が設けられますが、大責任なすり合い大会に豹変する。
加害者の親として目を向けられた者は保身しか考えない。
(そこまでの展開は、是枝裕和監督作品『怪物』の序盤をもっとストレートに、超えげつなくした感じ)
あまりの自分勝手な議論に阿修羅と化した良子はその場にいたママさんたちにハサミで斬りかかり、以後は阿鼻叫喚の血祭り大会へ(超爆汗)・・・。
この短編映画は綺麗ごと抜きなんですよね。単に我が子をいじめで亡くしたお母さんを題材にスプラッター・ホラーをやってるのではない!
自分の命より大切なものをもぎ取られた母親の苦痛の叫びをストレートに提示しただけ。
良子にはもう生きる意味さえ分からないから、怖いものがない。だからこの映画の鬼気迫る良子はむちゃくちゃ強い。
クソつまらない法やとか人の道とか関係ない。そういう状況に陥ってる人を世間は狂人扱いして相手にしないが、私はこの映画の良子にメガトン級の共感をしたというか、私が同じ立場なら同じ以上の事をするだろう。
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あえて私は「この国の」という言い方をしますが、この国は“殺るか殺られるか”の局面において、まったくのやられ損なんです。
奪われた命は帰ってこないのに、加害者は「法」の名のもとに保護される。そいつの「更生」とか「反省」、「はあ!?」って感じ。遺族は2度3度と死ぬより辛い目に遭わされる。
私は家族に常々本気で言っている、「万が一、お前らが事件に巻き込まれて殺された場合は、敵は絶対にとったる」と。
誰が法に委ねるかいと。私は加害者が警察の手に捕まった場合、一日も早くそいつを心神喪失扱いして無罪放免にしろと。
野にさえ放ってくれたら、俺が殺ると。私はそれが被害者遺族の本音やと思う。
なんで人間らしくとかなんとか法律がどうとか、そこまで忖度して生きなアカンねんと。アホかって。
いじめを殺人と同じ定義にするのは難しいが、「事故」と同じ扱いにしては絶対にならないと思う。

この映画のクライマックス、良子が狂ったように殺戮を行う姿に、良子が娘を産んだ瞬間がフラッシュバックで挿入される。
どれだけの想いの中でで我々生まれ、母親は産んだのかと。自分の人生は自分勝手な自分中心のはず。あなたならどうしますか?という映画でした。

余談というか私の自分語りですが、私は小学校6年で今の大阪の土地へ来るまで、子供らしい、いじめのような悪ふざけはありましたが、暴力は一切なかったんですよね。
ところが転校して今の土地の学校では言葉より先に手が出る、子供たちの間で暴力は当たり前なんで面食らいましてね。
もう毎日学校へ行って理不尽な暴力を受けるのが嫌で嫌で、それまでに暴力と無縁やったんで自分が強いか弱いかも分からないし、どうやり返していいものかわからんから困ったですね。
そんな6年生の時に、どこかの学校でいじめられっ子がいじめっ子に反撃して殺したというニュースがあり、学校でも朝のホームルームでみんなに伝えられた。すると、その日から三日間はいじめとか暴力がピタッと止んだ(超爆)・・・。
だから私、この『うまれる』という過激な短編映画、全国の学校を巡回するとか、PТAで上映されてもいいと思う。
(私は息子の少年野球チームで多くの子供と父兄を相手に教え、学びましたが、子供を見れば親が本当にわかる。問題児の親がスカタンな場合が殆ど)
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自分の命ですべてを清算した良子は、ひたすら娘に「ごめんね」を繰り返す(涙)・・・。
北大路欣也さんが言ってた、「『仁義なき戦い』のような激しい暴力を描いた作品でも、見た人にはその奥にある輝きをちゃんと見てくれている。舞台挨拶に行くと、僕の手を握るファンの力も熱くてね」と。
この血まみれの殺戮がメインの『うまれる』という映画の根底にも、ちゃんと輝きはあるのですよ。本質が。

[2023年、7月9日、『うまれる』、シネ・リーブル梅田②にて鑑賞]
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2023年6月4日、日曜日、大阪ステーションシティシネマの様子です。
大阪は朝から快晴で、暑いくらいでした。
映画『ウーマン・トーキング』、はっきり言って女性映画やったんですが、お客さんの大半は朝からシアター内でスポーツ新聞を広げているおじさんばっかで。女性もお一人様ばかりでしたね。

『ウーマン・トーキング 私たちの選択』
解説: 実在の事件を基にしたミリアム・トウズによる小説を、『アウェイ・フロム・ハー 君を想う』などのサラ・ポーリーが映画化。とある宗教コミュニティーを舞台に、性暴力に遭った女性たちが自分たちの今後について議論を交わす。『キャロル』などのルーニー・マーラを主演に、『ファースト・マン』などのクレア・フォイ、『ワイルド・ローズ』などのジェシー・バックリー、『007』シリーズなどのベン・ウィショー、製作も務めたオスカー女優のフランシス・マクドーマンドらが共演。製作陣にはブラッド・ピットが名を連ねる。

あらすじ:2010年の架空の村。独自の生活を営むキリスト教一派の人々が暮らす村で、女性たちに対する性的暴行が多発する。これまで女性たちは、そのことを悪魔の仕業や作り話だと男性たちから否定され、真剣に取り合ってもらえずにいたが、やがてそれが明らかな犯罪であることを知る。男性たちが街へ出かけ不在となる2日間、彼女たちは自らの未来を懸けた話し合いを行う。

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大昔のアメリカ女性史だと思ったこの映画、なんと2010年の架空の村を描いている。
まるでアーミッシュのような暗く地味な服装に身を包み、独自の古風な生活を営むキリスト教一派の村。
その村では当たり前のように横行していたレイプ事件により妊娠しているオーナ(ルーニー・マーラ)をはじめ、村の女たちが納屋に集まっている。
村の男たちは連続性暴力事件の加害者として全員逮捕・連行され、2日後に釈放される。
その留守の間に女たちは、「男たちを赦す」か「残って戦う」か「出ていく」かを話し合う。

まず私はこの映画、上記のような特異な設定を各キャラのセリフで匂わせる前半のディスカッション劇が実に退屈で(汗)・・・。
(テロップならワンカット数秒で済む)
「そんなの映画でやらずに舞台でやれや」と半分しらけながらこの映画を眺めておった。
私は男尊女卑とまではいきませんが、女性だけの議論がいかに話にならないかを散々見てきているので、案の定、論点が次々とズレまくって結局は平和論になるこの映画の彼女たちの“トーキング”の締まりのなさに呆れてました。
しかし、彼女たちの議論はスリリングな展開を見せる。
この映画の監督さん、女優でもあるサラ・ポーリーは謙虚だった。
アホなアニマル男連中なんぞ論じず、しっかりと矢印を自分たち「女」の方へ向けて、「何のための議論か」「これから私たちはどうすればよいのか」を、自分たちの弱さと至らなさもネタとしてほじくり返した後に、素晴らしい選択をする。
唯一、彼女たちの書記として特別に釈放されて戻って来た男性(ベン・ウィショー)も、とても優しくていい。

村の女性たちを代表して集まった3世代の8人の中には、男の性暴力と闘うべきだというサロメ(クレア・フォイ)のような勝ち気な者もいるが、「私は女子高育ちやが、男のおらん花園はクソつまらん。やっぱチ〇コも含めた男の存在は刺激も含めて大事ぞ」というお婆さんもいる(今のお婆のくだりはゾンビマンがちょっと盛った(汗)・・・)
私はこの映画、映像も綺麗な女性映画で、素晴らしいと思います。
暴力に復讐で応酬しても、建設的なモノは生まれないという彼女たちの未来へ向けた議論に私は正論だと思いますが、なんか模範的で映画としては面白くはなかった。面白くできる題材だけに惜しい。

“話し合い”・・・先日ネット上で、「本当に今の世の中腐ってるね」という議論があった。
私に言わせると、何でもかんでもくだらない事まで議論しすぎやろと。
なんか体で覚えるという事を避ける風潮になっているから、人間そのものが弱体化してる。
理想とか希望とかあるけど、私は暴力を完全否定して人間は語れない・描けないと思っていますので。
それを考えたら、暴力から入っていったこの作品の試みは頑張っていたとは思います。

劇中のオーナが、いったい誰の子かわからない、レイプされて身籠ったお腹の子を指して言う、「今時点で愛してやまない私の子」なんだと。その言葉と姿勢にグッときた。人としてリスペクトできる女性ならではの言葉。

[2023年6月4日、『ウーマン・トーキング私たちの選択』、大阪ステーションシティシネマ・スクリーン⑧にて鑑賞]

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2023年、5月6日、土曜日、シネ・リーブル梅田の様子です。
私は朝からシネ・リーブル梅田の同じ②番シアターで映画のハシゴやったという・・・。
この記事では私が朝から観た映画『ウィ、シェフ!』を紹介します。
大阪は午後から雨の予報でした。私は晴天のなか開場前に着いたのですが、見てください・・・たった3人なのに綺麗に並ぶ大阪のお客さん。
昨日の尼崎の奴らは見習わなアカンぞホンマ。最初がちゃんと並ぶから後から来た人も並べんねん。


『ウィ、シェフ!』
解説: 移民の少年たちが暮らす自立支援施設を舞台にしたコメディー。一流料理店のシェフだった女性が、調理アシスタントとして迎えた難民の少年たちと交流を重ねる。監督は『社会の片隅で』などのルイ=ジュリアン・プティ。『崖っぷちの女たち』などのオドレイ・ラミー、『最強のふたり』などのフランソワ・クリュゼらが出演する。

あらすじ:カティ(オドレイ・ラミー)は、一流レストランの副料理長を務めていたが、シェフと大ゲンカをして店を辞めてしまう。移民の少年たちが暮らす自立支援組織の調理担当として働きだすが、まともな食材も器具もないことに不満を抱えていたところ、施設長のロレンゾ(フランソワ・クリュゼ)から少年たちを調理アシスタントにしてはどうかと持ち掛けられる。天涯孤独で他者とのコミュニケーションが苦手なカティとフランス語が不得意な少年たちは、料理を通じて少しずつ心を通わせていく。


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一流レストランの副料理長を担当していたカティは、テレビの人気料理番組を仕切るオーナー・シェフの指示に背いて自分の味を押し通してしまった事で大喧嘩。カティは店を辞めて飛び出してしまう。
カティは女優を目指す友人と就職活動をしているうち、ある自立支援施設の厨房で働く機会を得るんですね。
衛生的でないだだっ広い厨房と、寝起きする部屋を与えられ、シェフとして好条件で迎えられるカティですが・・・。

まずカティは、缶詰めしか置いていない施設の厨房に驚き、ワンオペで悪戦苦闘した挙句に皿に盛りつけて料理を14時に出したら、いきなり施設長のロレンゾ(フランソワ・クリュゼ)から叱られた。
「料理は質より量を重視し、少年たちが活動する午後までに提供すること」と。
猫の手も借りたいカティは、最年少で料理人に憧れるギュスギュス(ヤニック・カロンボ)のおせっかいをヒントに、少年たちにチームを作らせ、料理のアシスタントにする案を思いつく。
というのも、実はカティが勤務する自立支援施設の少年たちは、フランス語もおぼつかない移民たちで、彼等は18歳までに職業訓練校に就学できないと強制送還される運命。
自らが天涯孤独だったカティは、少年たちの夢や境遇を知るうちに、彼等を料理の道で支援できるように腕をふるっちゃう・・・というお話。
フランスという国は敬語があるくらいだから、リスペクトのうえに成り立つこういった敗者復活戦のような社会派コメディがホンマに巧いし、見ているこちらもワクワクする。

勝負下着が食い込みすぎて機嫌の悪いセリーヌ・ディオンみたいな顔した(見たんか(汗)・・・)、カティを演じたオドレイ・ラミーさんが凄く良かった。お洒落なおばさんでスタイルもいい。

中盤からは、まるでテレビ番組や移民問題を批判したようなヘヴィな展開に若干なだれ込みますが、ラストは「ウィ、シェフ!」と、ビシッと締めてくれます。
(なんと移民の少年たちは健康検査で骨を調べて年齢を判断されるという法もシビア)

昨年公開された『ボイリング・ポイント沸騰』にもカッコイイ女性シェフが登場しましたが、料理からもたらされる笑顔が明るい未来を感じさせてくれる、味わい深い一品!

[2023年5月6日、『ウィ、シェフ!』、シネ・リーブル梅田②にて鑑賞]
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2022年3月13日、日曜日、大阪ステーションシティシネマの様子です。
映画『ウェディング・ハイ』、お客さん、まずまず入ってました。女性が多かったですね。
とにかく朝から暖かく、春やなという感じ。


『ウェディング・ハイ』
解説: 『殺意の道程』シリーズなどで脚本家としても活動しているお笑い芸人・バカリズムのオリジナル脚本を、『勝手にふるえてろ』などの大九明子監督が映画化。くせ者ぞろいの参列者たちによって混乱する結婚式を舞台に、敏腕ウエディングプランナーが数々のトラブルを解決すべく奔走する。主人公を『今日も嫌がらせ弁当』などの篠原涼子、新郎新婦を『水曜日が消えた』などの中村倫也と『町田くんの世界』などの関水渚が演じるほか、岩田剛典、中尾明慶、向井理、高橋克実らが出演する。

あらすじ:石川彰人(中村倫也)と新田遥(関水渚)のカップルは、担当ウエディングプランナーの中越真帆(篠原涼子)に支えられ、結婚式当日を迎える。二人の上司によるスピーチをはじめ、余興VTRや乾杯の発声など、結婚式お決まりの演目に張り切る参列者たちの熱意が暴走し、式は思わぬ様相を呈し始める。新郎新婦から助けを求められた真帆は、披露宴スタッフと力を合わせて式を円滑に進行すべく奔走するが、式場に遥の元恋人・八代裕也(岩田剛典)が現れてしまう。

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昨年末の特報をはじめ、何度も観たこの作品の予告編から、私は値切られたベテラン・ウエディングプランナーの奮闘と結婚披露宴の裏側を描いたフランスの傑作群像劇映画『セラヴィ!』を連想し、そんな似たような題材を、大好きな大九明子監督がどう料理するのか、楽しみにしていました。

この映画は軽いコメディとしては長い117分なのですが、序盤で結婚する事になった彰人と遥の馴れ初めから結婚式の準備までの経緯。そして、そこへ絡んでくる登場人物たちの前日譚をすべて丁寧に描いているから。
さらに、それらでばら撒かれた伏線を、終盤に向けてすべて回収するというね(汗)・・・。

彰人と遥の周りはくせ者揃いなので、普通は嫌がるであろう余興を「させてくれ」という輩が溢れ(爆)、披露宴に呼ばれてない者まで張り切っちゃうもんやから、なんと披露宴の中盤で予定時間が1時間も押してしまう。
(費用を安くしようと、お昼の時間に設定した為、居酒屋の予約みたいに時間制限を設けられた)
すべての想いが込められた余興をカットしたくないと新郎新婦から懇願された、ウエディングプランナーの真帆は、出席者たちの協力を得て、なんとか時間内に披露宴をまとめるが、さらにその裏側では、重大な事件が発生していた・・・。

コレ、面白いんやけれども笑うところまではいかないバカリズムの脚本より、とにかく観る者を幸せな気分にしてくれる大九明子監督の手腕が冴えていた作品。
私自身も劇中の彰人と同じで、やりたくないのに結婚式と披露宴をやって、結果、心の底からやって良かったなと思った人間。
ほのぼのコメディーとして、ドタバタの中にある幸福感をエンタメとして描いたのは素晴らしい。
コロナ過のどさくさに紛れて、冠婚葬祭や年賀状とか、良い部分もたくさんある行事や儀式がなくなりつつあるなか、人とは繋がる事で素晴らしいということを再認識させてくれる、見事なハートウォーミング作品でした。

[2022年、3月13日、『ウェディング・ハイ』、大阪ステーションシティシネマ・スクリーン③にて鑑賞]
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