ナニワのスクリーンで映画を観るということ。

大阪の映画好きゾンビまんです。 映画館のスクリーンで映画を観るということ。

Category: 映画レビュー「か行」

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2024年3月23日、土曜日、なんばパークスシネマの様子です。
大阪は朝からずっと雨。私はこちらのなんばパークスシネマで映画のハシゴでした。
この記事では私がこの日の朝に観た『コール・ジェーン』を紹介します。
お客さん30人弱でしたが、やはり女性が多かったですね。


『コール・ジェーン 女性たちの秘密の電話』
解説:女性の選択の権利としての人工妊娠中絶を題材に、1960年代後半から70年代初頭にかけてアメリカで推定1万2000人の中絶を手助けしたとされる団体「ジェーン」の実話をもとに描いた社会派ドラマ。

1968年、シカゴ。裕福な主婦ジョイは何不自由ない暮らしを送っていたが、2人目の子どもの妊娠時に心臓の病気が悪化してしまう。唯一の治療法は妊娠をやめることだと担当医に言われたものの、当時の法律で中絶は許されておらず、地元病院の責任者である男性全員から手術を拒否されてしまう。そんな中、ジョイは街で目にした張り紙から、違法だが安全な中絶手術を提供するアンダーグラウンドな団体「ジェーン」にたどり着く。その後ジョイは「ジェーン」の一員となり、中絶が必要な女性たちを救うべく奔走するが……。

主人公ジョイを「ピッチ・パーフェクト」シリーズのエリザベス・バンクス、「ジェーン」のリーダー、バージニアを「エイリアン」シリーズのシガニー・ウィーバーが演じる。「キャロル」の脚本家フィリス・ナジーが監督を務めた。2022年・第72回ベルリン国際映画祭コンペティション部門出品。

2022年製作/121分/PG12/アメリカ
原題:Call Jane



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この映画は劇場で観た予告編がおもろそうなんでチョイスしたのですが、男が見る映画ではないですね(爆汗)…
最初に「どうもすみませんでした」と言うときます(汗)…

舞台は私の嫁さんや弟が生まれた1968年のシカゴ。
夫と高校生の娘と暮らすジョイ(エリザベス・バンクス)は、二人目の子供の妊娠により心臓病が悪化してしまう。
男性の医師たちから中絶を拒否されたジョイは(当時は違法だとされていたから)、闇で中絶を請け負う団体「ジェーン」に辿り着く。

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ちょうど1960年代末期から70年代へという時代はサイケやアングラといったムーヴメントが一番活発だった頃で、数々のロックもこの頃に生まれたという、いかにもそういうファッションに彩られた作品ではあるのですが、内容は女性にとっては切実な問題を扱った超真面目な作品。
ジョイは自ら「ジェーン」という団体で中絶をしてもらったんですが、その活動の発起人であるバージニア(シガニー・ウィーバー)と意気投合し、成り行きで団体の一員になったばかりか、見よう見まねで自ら堕胎手術を行うようにまでなるという、見方を変えれば恐ろしい話なのですが……
要は望まない妊娠をした女性たちの「駆け込み寺」みたいな「ジェーン」という団体の正当性みたいなものを淡々と描いた作品で、私から見れば映画的というより教科書的やったんで眠くて眠くて(爆汗)…
(えらく地味やなと思ったこの映画は2022年の作品)
結局は1万2千人ほどの心身共に苦しむ女性を救った団体だとして、裁判になっても認められたというお話。
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私はその荒っぽい方法も含めて中絶には反対で、まあ、男が悪いんでしょうけど、それを防ぐのは女性自身だという思いが強いので、感情移入しにくいお話で参ったです(汗)…
ただひたすら、女性は大変だなと(マジで)……

『コカイン・ベア』という、むちゃくちゃ美味しいネタも少し地味に監督していたエリザベス・バンクスという女優さんは奮闘していましたし、まだまだ若いシガニー・ウィーバーの健闘ぶりは嬉しかったです。

[2024年3月23日、『コール・ジェーン 女性たちの秘密の電話』、なんばパークスシネマ・スクリーン⑪にて鑑賞]

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2024年3月4日、月曜日、TOHOシネマズ梅田・別館の様子です。
この『52ヘルツのクジラたち』という映画、本当は2週間後の字幕スーパー付き上映を待って見る予定にしていたのですが、その週は他に見たい映画が重なっていましたので、急遽、平日の仕事帰りに。
ちょうど良い17時台の回がありましたので。
結果は大失敗でした。わざわざセリフを聞き取るために、初めてこのТ梅田⑩番の前方で映画を観たのですが、65%ほどのセリフしか聞き取れんかった(怒)…

『52ヘルツのクジラたち』
解説:2021年本屋大賞を受賞した町田そのこの同名ベストセラー小説を、杉咲花主演で映画化したヒューマンドラマ。

自分の人生を家族に搾取されて生きてきた女性・三島貴瑚。ある痛みを抱えて東京から海辺の街の一軒家へ引っ越してきた彼女は、そこで母親から「ムシ」と呼ばれて虐待される、声を発することのできない少年と出会う。貴瑚は少年との交流を通し、かつて自分の声なきSOSに気づいて救い出してくれたアンさんとの日々を思い起こしていく。
杉咲が演じる貴瑚を救おうとするアンさんこと岡田安吾を志尊淳、貴瑚の初めての恋人となる上司・新名主税を宮沢氷魚、貴瑚の親友・牧岡美晴を小野花梨、「ムシ」と呼ばれる少年を映画初出演の桑名桃李が演じる。「八日目の蝉」「銀河鉄道の父」の成島出監督がメガホンをとり、「四月は君の嘘」「ロストケア」の龍居由佳里が脚本を担当。タイトルの「52ヘルツのクジラ」とは、他のクジラが聞き取れないほど高い周波数で鳴く、世界で1頭だけの孤独なクジラのこと。

2024年製作/135分/G/日本
配給:ギャガ
劇場公開日:202431

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この映画は私の大好きな成島出監督が杉咲花を主役にベストセラー小説を映画化するという、企画の段階から楽しみにしていました。
海辺の町に引っ越してきた貴瑚(杉咲花)、いきなり都会からやってきた彼女に対する変な噂が広がっていて、呆れる貴瑚。
土砂降りの雨の日、お腹の痛みに耐えてうずくまっている貴瑚は、壊れたビニール傘を差しだしてくれた、髪が伸び放題の少年(桑名桃李)と出会う。母親から「ムシ」と呼ばれ酷い虐待の痕が見られる少年を貴瑚は連れ帰るが、その日は少年に逃げられる。
別の日に助けを求めるように、また長髪の少年がやって来た。
言葉を発せられなくなっている少年に、「52ヘルツのクジラの鳴き声」を聞かせる貴瑚は、その鳴き声の事を教えてくれた安吾(志尊淳)との思い出が詰まった、3年前に思いをはせる。

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毒親とも言える母親(真飛聖)の虐待(暴力)に耐えながら、寝たきり状態の義父の介護に付きっ切りの貴瑚は、疲れ切ってトラックに轢かれかけたところを、高校時代の友人・美晴(小野花梨)と、その同僚の安吾に救われた。
以後、まるで生気の無い貴瑚を立ち直らせるべく、なにかと世話を焼いてくれる安吾と美晴。
貴瑚は安吾といると安らぎを感じるのですが、「君の幸せを心から願うよ」と言う安吾とは友達の域を出ないでいる。
ある日、物流センターに勤める貴瑚はトラブルの巻き添えで怪我をするのですが、謝罪に来た会社の御曹司・主税(宮沢氷魚)に、画面上では5分ほどで見初められてしまう(爆汗)…
貴瑚にしてみれば不幸のどん底から起死回生のシンデレラストーリー驀進なのですが、唯一、主税との仲を反対するのが安吾で、その思いは主税にも伝わり、貴瑚を巡る奇妙な足の引っ張り合いになるんですね。

私はいかにもベストセラー小説でございというこの物語は好き嫌いで言えば大嫌い。入り乱れすぎやから。
とてもここでは書ききれないほどのエピソードが詰め込まれています。
ただ、メッセンジャーとしてこの映画を捉えたときに、さすがは成島出監督という語り口が素晴らしかった。
伏線の撒き方が丁寧すぎて先が読めまくるお話なんですが(爆汗)、それらをすべて回収して、どうしようもないほど暗くヘヴィな内容を、明るく終わらせたのはお見事でした。
(この映画に出ている男優陣、初めて見る人ばかりやったんですが、どうも役柄がみな女々しいのですよ。それがあるショッキングな事件に繋がるのには驚きました)

タイトルの意味がいい。高音すぎる鳴き声が仲間には届かない、孤独なクジラに由来。
人と人って、根っこの部分で共鳴するものが同じ人という相手は尊い存在やと思うんです。本能的に譲れない部分でもある。
毒親によって虐げられ、疲れ果てた貴瑚は、安吾や美晴のおかげで人間として生まれ変わったように立ち直る。
人生はいつからでもやり直せると描いたこの映画は、「でも、ひとりではソレは難しいよ」と伝えているところが凄く心に響きましたわ。
貴瑚と安吾、貴瑚と名もない少年の心と心がクジラの鳴き声に共鳴する様が…
やはり大きな悲しみを乗り越えた人は、同じような人には優しいという映画でしたわ。

[2024年3月4日、『52ヘルツのクジラたち』、TOHOシネマズ梅田・別館スクリーン⑩にて鑑賞]

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2024年2月24日、土曜日、TOHOシネマズ梅田の様子です。
本日も私は朝から映画のハシゴでした。
この記事では、私がこの日2本目に観た映画『コヴェナント』を紹介します。
私は朝から大阪ステーションシティシネマで映画を観て、TOHO梅田へ移動。
今日見た映画はどちらもほぼ満席でした。

『コヴェナント 約束の救出』
解説:「スナッチ」「シャーロック・ホームズ」シリーズのガイ・リッチー監督が、アフガニスタン問題とアフガン人通訳についてのドキュメンタリーに着想を得て撮りあげた社会派ドラマ。

2018年、アフガニスタン。タリバンの武器や爆弾の隠し場所を探す部隊を率いる米軍曹長ジョン・キンリーは、優秀なアフガン人通訳アーメッドを雇う。キンリーの部隊はタリバンの爆発物製造工場を突き止めるが、大量の兵を送り込まれキンリーとアーメッド以外は全滅してしまう。キンリーも瀕死の重傷を負ったもののアーメッドに救出され、アメリカで待つ家族のもとへ無事帰還を果たす。しかし自分を助けたためにアーメッドがタリバンに狙われていることを知ったキンリーは、彼を救うため再びアフガニスタンへ向かう。

主人公キンリーをジェイク・ギレンホール、通訳アーメッドを「エクソダス 神と王」のダール・サリムが演じ、ドラマ「ザ・ボーイズ」のアントニー・スター、「トレインスポッティング」のジョニー・リー・ミラー、「リトル・ジョー」のエミリー・ビーチャムが共演。
2023年製作/123分/G/イギリス・スペイン合作
原題:Guy Ritchie's the Covenant
配給:キノフィルムズ
劇場公開日:2024年2月23日

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2001年のアメリカ同時多発テロ事件の報復の為、米軍はアフガニスタン侵攻として数千人の兵士を派遣した。
その数は数万人単位で膨れ上がっていく。
タリバンの武器庫撲滅を目論む米軍曹長キンリー(ジェイク・ギレンホール)は、少し反抗的だがキレ者だという現地人アーメッド(ダール・サリム)を雇う。
家族を養う為、お金で割り切って地元民から米軍に協力しているアーメッドに対し、どこか上から目線なキンリーでしたが、アーメッドの鋭い洞察力で味方の危機を回避したばかりか、戦闘を重ねているうちにキンリーとアーメット以外の部隊は全滅させられてしまう。
この映画の展開は、邦題のサブタイトルにも表れていますが、道路を使えないアーメットは、押し車に瀕死のキンリーを載せて、なんと100キロ先にある米軍の基地まで山道を進む。そこまでの描写に全体の三分の二を費やしています。



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奇跡的に生還したキンリーですが、キンリーを命懸けで救ったアーメットにはタリバンから首に懸賞金を賭けられ、アーメットは妻と生まれたばかりの子供を連れて逃亡する日々を送っていた。
アフガニスタンにアーメットを残してきたキンリーは妻に言う、「自分は生き延びる事ができたが、一日も気が休まった事はない」と。
キンリーはアーメットのビザを申請するが、お役所仕事で待たされてイラつく日々に耐えかねて、遂にアーメットを自ら救いに再びアフガニスタンへ飛ぶ…というお話。

このお話は救った方も救い返した方も男気溢れるエピソードで、見ていてむちゃくちゃ燃えました。
やはり友情とか絆の強さだとか、お金で買えないものの為に命を賭けるというお話は熱い。

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この映画、私は熱いと書きましたが、監督がイギリスのガイ・リッチーなので、タッチはめちゃくちゃクール!
それはイギリスのバンドなのにアメリカを名乗ったバンドの名曲、この映画の冒頭に流れた『名前のない馬』に象徴されていた。
ジェイク・ギレンホールのファンは必見の戦争アクション映画。

[2024年2月24日、『コヴェナント 約束の救出』、TOHOシネマズ梅田・スクリーン④にて鑑賞]

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2024年1月28日、日曜日、なんばパークスシネマの様子です。
上記の画像では分かりにくいのですが、開場10分前に着いてみたら信じられないような大行列で、列がお隣のヤマダ電機に届く勢いで大きく曲がっていた。この場所を知る方なら、この行列のえげつなさが分かると思います。
(相変わらず先に来ている友人の場所に平気で割り込むオバサン、頼むから死んでくれ。大阪の恥じゃ)
「いったい何事!そんな凄い人気の映画やってた?」と聞いてみたら、ガンダムらしい(爆汗)……
「こりゃあ、わざわざこちらのシネコンをチョイスして大失敗やったな」と後悔しましたが、なんとか5分で上階に上がれ、チケット発券も意外にスムーズにいき、見る予定の映画に間に合いました。
ちなみに、この映画は大阪キタ地区ではミニシアター公開なので、場内もスクリーンも大きいなんばパークスシネマでなければスルーしていました。
ところが面白いもので、シアターの大スクリーンはご覧のようにシネスコワイドなのですが、『コット、はじまりの夏』という映画はスタンダードサイズ(ほぼ真四角)なので、スクリーンの半分しか使っておらず、左右に大きな余白があるというね。

『コット、はじまりの夏』
解説:1980年代初頭のアイルランドを舞台に、9歳の少女が過ごす特別な夏休みを描いたヒューマンドラマ。第72回ベルリン国際映画祭で子どもが主役の映画を対象にした国際ジェネレーション部門でグランプリを受賞し、第95回アカデミー賞の国際長編映画賞にノミネートもされた。

1981年、アイルランドの田舎町。大家族の中でひとり静かに暮らす寡黙な少女コットは、夏休みを親戚夫婦キンセラ家の緑豊かな農場で過ごすことに。はじめのうちは慣れない生活に戸惑うコットだったが、ショーンとアイリンの夫婦の愛情をたっぷりと受け、ひとつひとつの生活を丁寧に過ごす中で、これまで経験したことのなかった生きる喜びを実感していく。

本作がデビュー作となるキャサリン・クリンチが主人公コットを圧倒的な透明感と存在感で繊細に演じ、IFTA賞(アイリッシュ映画&テレビアカデミー賞)主演女優賞を史上最年少の12歳で受賞。アイルランドの作家クレア・キーガンの小説「Foster」を原作に、これまでドキュメンタリー作品を中心に子どもの視点や家族の絆を描いてきたコルム・バレードが長編劇映画初監督・脚本を手がけた。
2022年製作/95分/G/アイルランド
原題:An Cailin Ciuin
配給:フラッグ
劇場公開日:2024年1月26日

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この映画はミニシアターで予告編を見た時、田舎に預けられたという、私も経験がある事柄を描いた少女の物語だということと、その少女を演じているキャサリン・クリンチという子役があまりに美形なので気になりました。
あと、私はどこの国の映画かわからないマイナー公開作でも、その映画が何らかの賞に輝いている場合は観るようにしています。
おんぼろ車が活躍し、携帯電話が出てこない作品だったので、「いつの時代の映画や?」と思っていたら、1981年のアイルランドの田舎が舞台の映画でした。
冒頭、鬱蒼たる草原に身を隠している9歳の少女コット。
コット(キャサリン・クリンチ)は大家族の一員で、姉妹は仲が良いのですが、どこか乱暴で不愛想な父親と貧乏のせいで、寡黙で居場所の感じられない毎日を送っている。
静かな音楽と自然を捉える素晴らしい撮影で淡々と進むこの映画、しかしコットの仕草や表情を見ていると、コットと私自身の同じような状況だった頃の情景がぶわ~~っと脳裏に浮かんでくる。
夏、農場の牛と母親の出産が重なった事から、家族の負担軽減の為、凄く軽いノリで親戚の家に預けられる事になったコット。
迎えるキンセラ家のアイリン(キャリー・クロウリー)はとても優しく、その夫ショーン(アンドリュー・ベネット)はいかにも不器用な堅物だが、家にやって来たコットを静かに見守る。

この映画、劇的な事はなんにも起こらない。私の子供の頃の田舎での夏休みの方が数倍面白そう(爆汗)……
しかし、だからこの映画はいい。アイリンとショーンの夫婦とコットの距離が、ホンマに少~しづつ縮まっていくのがいい。
コットは母親から小言ばかり言われていたので、言いつけを守りたく、「下着は毎日変えなさいと言われている」等の主張はハッキリとする。寡黙だが陰気な感じのない女の子。
アイリンはまるで自分の娘を育てるように、丁寧に何度もコットの髪を編み上げる。
田舎ですから、農作業や井戸での水汲み等、夫婦の毎日を通してコットも過ごすうち、夫婦それぞれと違う絆を深めていくコットの姿に、見ているこちらの気持ちも和んできます。
特に、最初は不愛想に見えたショーンとコットとの交流シーンは、後半になるほど活きてきます。

おもろいのは、途中で街へ行き、ある会合に参加した夫婦は、一時的に知り合いのオバサンにコットを任せるのですが、そのオバサンがまるで大阪のおばはんみたいな性格で、とにかくコットにキンセラ夫婦の事を根掘り葉掘り聞きだし、自分からはキンセラ家の秘密をベラベラと喋る。その事でコットはキンセラ夫婦の暗い過去まで知ってしまうというね。
やがて、本当の親子のようになったキンセラ夫婦とコットなのですが、夏休みが終わり、学校の準備の為にコットは家に帰る事になります……


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この映画はコットを演じたキャサリン・クリンチに尽きる!
撮影時に12歳だったキャサリン、昭和の映画雑誌ならアイドルに祭り上げられていますよ。

子供って賢いんやけど、自分だけでは生きて行くのが困難なので、大人をよく見ている。
この映画のアイリンとショーンの夫婦がとにかくいい。
どうやって,子供のある意味盲目的な愛情を掴むことができたのかが、ゆったりの時間と共に描かれていました。
ラストシーンが良かったなあ……
私も久しぶりに九州に集中していた親戚の事なんかを思い出しました。
この作品は素朴な味わいの名作映画だと思います。

[2024年、1月28日、『コット、はじまりの夏』、なんばパークスシネマ・スクリーン⑨にて鑑賞]

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2024年1月6日、土曜日、なんばパークスシネマの様子です。
私は本日の有給休暇を含む、また今日から3連休。
私は朝からなんばパークスシネマで映画のハシゴでした。
この記事ではこの日の朝に観た韓国映画『コンクリート・ユートピア』を紹介します。
お客さん50人ほどは入っていましたね。
あと、近年はまたヴィスタサイズの映画が増えてきました。何でもかんでもシネスコワイドで撮ってた韓国映画には珍しく、この映画もヴィスタサイズで、なんパーの8番スクリーンのフルサイズと同じなので、ちょうどよかったです。


『コンクリート・ユートピア』
解説:大災害により荒廃した韓国・ソウルを舞台に、崩落を免れたマンションに集まった生存者たちの争いを描いたパニックスリラー。

世界を未曾有の大災害が襲い、韓国の首都ソウルも一瞬にして廃墟と化した。唯一崩落しなかったファングンアパートには生存者が押し寄せ、不法侵入や殺傷、放火が続発する。危機感を抱いた住民たちは主導者を立て、居住者以外を追放して住民のためのルールを作り“ユートピア”を築くことに。住民代表となったのは902号室に住む職業不明の冴えない男ヨンタクで、彼は権力者として君臨するうちに次第に狂気をあらわにしていく。そんなヨンタクに傾倒していくミンソンと、不信感を抱く妻ミョンファ。やがてヨンタクの支配が頂点に達した時、思いもよらない争いが幕を開ける。

「非常宣言」のイ・ビョンホンが支配者ヨンタク、「マーベルズ」のパク・ソジュンがミンソン、「君の結婚式」のパク・ボヨンがミョンファを演じた。監督・脚本は「隠された時間」のオム・テファ。
2023年製作/130分/G/韓国
原題:Concrete Utopia
配給:クロックワークス
劇場公開日:2024年1月5日


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まるで前回の大阪万博時に建てられた千里ニュータウンみたいな、韓国ソウルの集合住宅の歴史を見せてくれるオープニングから一転、そのソウルの街並みが、まるで小惑星衝突くらいの未曾有の災害に見舞われ(大地震だとか、それが世界規模だと言い切っていないのが韓国映画らしい)、なぜか一棟の高層アパートだけがニョッキリと残ってしまう。
まだ若いミンソン(パク・ソジュン)と看護師の妻ミョンファ(パク・ボヨン)の夫婦も奇跡的に他の住人と共に無傷で生き残る。
外は吐く息も白い真冬ですから、深夜にミンソンたちは色んな外部の人の訪問を受けます。
「子供が凍えるから中へ入れて」とか。仕方なしに入れてあげると、ライフラインは止まったままで食料も自治体の配給が頼りですから、いくら助け合いとは言え、外部の人間が家にいると気を使って仕方がない(入れてもらった方は図々しくなるし)
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外部の人間と高層アパート住人とのトラブルが絶えないなか、刃傷沙汰と火災が1階で同時に発生、その火事を英雄的活躍で消し止めたのが、9階に住むというヨンタク(イ・ビョンホン)だった。
アパートの住人たちは話し合いの結果、外部の人間を自分たちのアパートから追い出す事で団結し、その窓口、リーダーにヨンタクを指名する。
極限の災害下で権力に支配されるようになるヨンタクは、外部の人間を「ゴキブリ」と呼んで除外するようになり、対立を深めていく。
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この映画、不謹慎ながら我が日本も元旦から能登半島が地震と津波に襲われ、物資と救助が及ばない避難所ではエゴむき出しの人間模様が予想される。略奪・暴行被害が相次ぎ無法地帯と化してしまうという意味で、題材がタイムリーすぎる。
この映画はそういう人間の醜い姿を描いている部分も興味深いのですが、「アパート内での事は、あくまでも住人ファースト」だとルールを作り、自らが先頭に立って、兵役経験のある男たちを連れて近郊に略奪に行くようになるヨンタクが、実は高層アパートの本当の住人ではなかったというひと捻りも韓国映画らしい(爆汗)……
私のように半世紀も生きていると、どこかで人間、何らかの形で災害に見舞われるようですね。
私も避難所生活経験はないですが、大震災に大型台風を経験しました。
そういう時に、一番人間性が出るし、また問われる。ホンマに自分の事しか考えないヤツにうんざりしますが、多分、私自身も負けず劣らず自分勝手になると思います。ただ、誰かをリーダーに祭り上げて指示されるのはまっぴらごめん。

この映画はエンタメとしても優れていますし、高層アパートの住人たちをはじめ、外部で生き残った人達の気持ちも、どちらにもおもいっきり共感できるようになっています。
ついでに、「人を押しのけてまで生きるべきか」と困惑するミョンファの良心に希望を持たせたところと、悪役?を演じたイ・ビョンホンも素晴らしい。ちなみに、私は動物の雄本来が持つ縄張り意識がめちゃくちゃ強いので、ヨンタクタイプですね(汗)……
この作品、今まであったようでなかったの設定の勝利ですよね。コレ、日本が舞台だともっと陰湿なドラマになるから、見ると胸糞悪くなるかも(爆汗)……
日本はやせ我慢で美徳を維持している国なので、モラルが崩壊すると狂気も気持ち悪さも倍増やからね。

[2024年1月6日、『コンクリート・ユートピア』、なんばパークスシネマ・スクリーン⑧にて鑑賞]

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