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2021年2月28日、日曜日、なんばパークスシネマ・スクリーン⑪の様子です。
映画『すばらしき世界』、大阪では今日と3月1日の二日間の各一回、日本語字幕付き上映があります。
私はこの日の上映に合わせて待ってました。私は何事も後出しは嫌いなので、映画を公開日より遅れて見るほど抵抗があるのですが(こうやって観ては記事にする兼ね合いもあります)、やはり補聴器をつけて観ても、字幕がないと聞きとれない箇所が幾つもありますので。面白いのは、バスのアナウンスだとか雑踏の音とか、字幕の場合は教えてくれるのですが、役所広司さんがソープに行く素晴らしいシーンにて(爆汗)、[フェラチオの音]と字幕を入れたのは、革命的ファインプレーやと思いましたよ(爆)・・・。
私の耳がダンボになってたもん(超爆)・・・。
『すばらしき世界』2021年2月28日、日曜日、なんばパークスシネマ・スクリーン⑪の様子です。
映画『すばらしき世界』、大阪では今日と3月1日の二日間の各一回、日本語字幕付き上映があります。
私はこの日の上映に合わせて待ってました。私は何事も後出しは嫌いなので、映画を公開日より遅れて見るほど抵抗があるのですが(こうやって観ては記事にする兼ね合いもあります)、やはり補聴器をつけて観ても、字幕がないと聞きとれない箇所が幾つもありますので。面白いのは、バスのアナウンスだとか雑踏の音とか、字幕の場合は教えてくれるのですが、役所広司さんがソープに行く素晴らしいシーンにて(爆汗)、[フェラチオの音]と字幕を入れたのは、革命的ファインプレーやと思いましたよ(爆)・・・。
私の耳がダンボになってたもん(超爆)・・・。
解説:『ゆれる』『永い言い訳』などの西川美和が脚本と監督を手掛け、佐木隆三の小説「身分帳」を原案に描く人間ドラマ。原案の舞台を約35年後の現代に設定し、13年の刑期を終えた元殺人犯の出所後の日々を描く。『孤狼の血』などの役所広司が主演を務め、テレビディレクターを『静かな雨』などの仲野太賀、テレビプロデューサーを『MOTHER マザー』などの長澤まさみが演じている。橋爪功、梶芽衣子、六角精児らも名を連ねる。
あらすじ:下町で暮らす短気な性格の三上(役所広司)は、強面の外見とは裏腹に、困っている人を放っておけない優しい一面も持っていた。過去に殺人を犯し、人生のほとんどを刑務所の中で過ごしてきた彼は、何とかまっとうに生きようともがき苦しむ。そんな三上に目をつけた、テレビマンの津乃田(仲野太賀)とプロデューサーの吉澤(長澤まさみ)は、彼に取り入って彼をネタにしようと考えていた。
先月、初めて字幕付きの邦画として観た映画『ヤクザと家族』を記事にしたとき、「今年はこの作品を超える邦画は出てこないんじゃないか?」と私は書いた。
時を同じくして、『哀愁しんでれら』の記事内で、「西川美和監督作は『永い言い訳』を観て私はこの人とは感性がまるで合わない」とも書いたのですが、この『すばらしき世界』という映画は、佐木隆三さんのノンフィクション小説が原作だから、私は観ると決めてはいた。
私、特に映画などは比較で評価する事は避けたいと思っているのですが、ヤクザが生きた3つの時代を映画化した『ヤクザと家族』、主人公が堅気になれずに社会からつまはじきにされるその第3幕と、それを掘り下げたような映画『すばらしき世界』は内容が被ってるんですが、タイプの違う作風でがっぷり四つ! 早くも『ヤクザと家族』と肩を並べる日本映画の傑作『すばらしき世界』に出会えて、今私は無茶苦茶興奮しています。
刑務所の看守に大声で返事を返し、高校野球甲子園の入場行進する球児よりも高く腕を振り上げて、行進歩きする囚人の三上を見て、日本の刑務所では今だにそういう軍隊みたいな規律でやっとんかいと。これから出所する三上は余計に“昭和の老害扱いされて苦しむぞ”と思って私は見ていた。
親の愛情を知らずに育った三上は奇跡的に優しい男なのだが、短気で真っすぐすぎるから、他人とすぐに衝突する、今の社会や教育が一番敬遠したがるめんどくさいおっちゃんなんです。
重度の高血圧症で、車の仕事に就きたいのに免許証を失効している三上は、身元保証人の勧めで生活保護を受給し、古いアパートで暮らし始める。
そんな三上はテレビ番組を見て、4歳のときに離別した母親を捜してほしいと自分の刑務所時代の「身分書」をテレビ局に送りつけた事からテレビプロデューサーの吉澤(長澤まさみ)に目をつけられ、ネタをリークされたテレビマンの津乃田は、お金に困る三上に取材を申し込み、以後密着するようになるんですね。
物語は、生活保護を嫌い、男気の強い三上の悪戦苦闘を描くわけですが、殺人を犯して13年も刑務所にいて、微塵も反省していない三上は社会の壁に何度もぶち当たって跳ね返されるという事を繰り返すうち、ついにはかつての反社会的な世界に舞い戻ろうとしてしまう。
しかし、出所後の三上に「逃げることも立派な正攻法」だと説く、彼と正面からぶつかって逃げなかった人たちの心がね、彼を大きな空の下に踏みとどまらせるというお話なんですわ。
私は人を殺めた事はありませんが、小細工が嫌いで人と衝突を繰り返す三上には共感を超えて、まるで自分がこの映画の人達に諭されているような錯覚を覚えるほどで(爆汗)・・・。
この映画、気骨のある男が底辺でもがく様子を女性監督が描いていて、「やっぱりこの監督さんはわかってないな」と思う描写が全編を貫いてはいるんですが、三上という男が女性に救われている部分であるとか、母親の愛情を渇望していた三上を女性監督が優しく抱きしめたという部分こそがこの映画の本質で、「わあ、マジで素晴らしい」と私が涙した部分やった。そして、この映画の素晴らしさって、役所広司さんの凄さですよ。
役所さん演じる三上に、煮えたぎる血をぶっかけられ、骨で頭をガツンと殴られた感じがして、私は役者の演技を見て久々に身震いしました。
最後、そんな役所さん演じる三上に、作り手はコスモスを添えるなんて(涙)・・・。
私、別に元囚人でもなんでもないけど、現実ってホンマはもっと汚くて厳しくて優しくもないんです。みなさんもよく知るように。だからこそ、映画ってこれでいいと思います。
[2021年、2月28日、『すばらしき世界』、なんばパークスシネマ・スクリーン⑪にて鑑賞]