2019年8月31日、土曜日、大阪ステーションシティシネマの様子です。
私は朝早くから映画鑑賞でしたが、さすがに涼しくなってきました。
大阪の天気が不安定という事で朝のシネコン・ロビーは人もまばらやったんですが、2018年度のイギリスとフランスの合作映画『ガーンジー島の読書会の秘密』、意外な事に老若男女で賑わっていました。
『ガーンジー島の読書会の秘密』
解説:第2次世界大戦中にドイツ占領下にあったガーンジー島で行われた読書会をめぐるミステリー。読書会に魅せられた作家を『シンデレラ』などのリリー・ジェームズが演じるほか、ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」シリーズなどのミキール・ハースマン、『ニューヨーク 冬物語』などのジェシカ・ブラウン・フィンドレイのほか、マシュー・グード、ペネロープ・ウィルトンらが共演。『フォー・ウェディング』などのマイク・ニューウェルが監督を務めた。
あらすじ:1946年のロンドン。作家のジュリエット(リリー・ジェームズ)は一冊の本をきっかけに、チャンネル諸島のガーンジー島の住民と手紙を交わし始める。ドイツの占領下にあった第2次世界大戦中、島ではエリザベスという女性が発案した読書会がひそかに行われ、島民たちの心を支えていた。本が人と人の心をつないだことに感銘を受けたジュリエットは、取材のため島を訪れる。
1941年、綺麗な星空の光を頼りに、ゴキゲンに田舎道を歩いていた数人の男女に緊張が走る。
「イギリス王室属領であり、イギリス女王をその君主としているが、連合王国には含まれない」というガーンジー島は第二次世界大戦中はドイツ占領下にあり、その島民である数人の男女は外出禁止命令中にドイツ兵と深夜に出くわしたから。
悪酔いした老人エベン(トム・コートネイ)は咄嗟に、「読書会で集まっている。“ポテト・ピール・パイ”という会(この映画の原題)だよ」と言い放ち、ドイツ兵の靴にゲロをぶちまけたので、その迫力に押されたドイツ兵の承認により、嘘から誕生した「ポテト・ピール・パイ読書会」は島民の憩いの場として親しまれた(笑)・・・。
1946年、ロンドン。ニューヨークに憧れる売れっ子作家のジュリエットは、“ガーンジー島の読書会”のメンバーからの手紙を読み、感激して文通を始める。
その内容に興味を惹かれたジュリエットは、婚約したばかりのマークを置いて、単身ガーンジー島へ渡る。
手紙の送り主である島の青年ドーシー(ミキール・ハースマン)をはじめ、読書好きの島民たちはジュリエットを温かく迎え入れますが、肝心の読書会の事については語りたがらない。
よく見ると、島民たちの家族構成なんかがいびつな感じでね。ドーシーは自分の子供でもない小さな娘を育てていますし・・・。
作家として読書会の隠された秘密に興味を持ったジュリエットは、さらに島に滞在し、ポテト・ピール・パイ読書会の秘話を紐解いていく・・・というお話。
本当のポテト・ピール・パイ読書会の発端は、豚を隠していたご婦人がいて、ドイツ軍に束縛されるから豚を料理して息抜きパーティーしたのが始まりなんですが、ドイツ兵に会が承認された後は、本当の読書会として島民の憩いの場になる。
私、老眼になった約十年ほど前までは寝る前にノンフィクション本を読まないと寝れないほどの活字中毒でした。
パソコン=ブログを始めてからは全く読書しなくなったのですが(汗)・・・。
この映画の前半では、本が人を動かす・与える力、人を繋ぐ素晴らしさが描かれています。
この映画を見ていて、中盤以降はある映画を私は思い出していました。
横溝正史原作の映画化で、石坂浩二さんが金田一耕助を演じた『獄門島』・・・。
そう、ジュリエットが読書会の秘密を解いていく過程で、ある事件に係わった人々の心を救済するなんて部分がそっくりで、まるで猟奇殺人事件の起こらない『獄門島』のテイストでした。
(事件と言っても、戦争中だから色々ある。この作品の場合、国境・敵味方を越えた愛や友情が引き裂かれる悲劇が潜んでいる。エリザベスという女の行方がわからなくて、その行方が秘密を解く鍵になっています)
映画『獄門島』では、大原麗子さん演じる島の女が言う、「金田一さん、私はこの島から出た事がないんです。私を連れだしてほしい」と。
中盤以降、金田一耕助のようなジュリエットは、自身の愛の行方もしっかりと見極めていくという、ラブロマンスまで味わえる1度で3度ほど美味しい佳作でした。
この映画のラストシーン、良い映画の余韻としては今年最強レベルやと思いますね。
[2019年、8月31日、『ガーンジー島の読書会の秘密』、大阪ステーションシティシネマ・スクリーン⑦にて鑑賞]