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2019年7月28日、日曜日、シネ・リーブル梅田の様子です。
今朝は快晴、私は自転車で朝から別の用事をして梅田スカイビルに向かったのですが、暑さにやられてダウンしている人を数人見かけました。みなさん老人で。これから酷暑になるので注意が必要ですね。
私が鑑賞した映画『ワイルドライフ』は公開2週目になるのですが、近年のこのミニシアターにしては珍しくお客さん入ってました。
『ワイルドライフ』
解説:『ラブ&マーシー 終わらないメロディー』などの俳優ポール・ダノが監督を務め、ピュリツァー賞作家リチャード・フォードの小説を映画化したヒューマンドラマ。アメリカ・モンタナ州を舞台に、崩壊していく家族が描かれる。『17歳の肖像』などのキャリー・マリガン、『ナイトクローラー』などのジェイク・ギレンホール、『ヴィジット』などのエド・オクセンボールドらが出演する。
あらすじ:1960年代。ジェリー(ジェイク・ギレンホール)一家は、カナダとの国境近くにあるモンタナ州の田舎町へとやってくる。14歳の息子ジョー(エド・オクセンボールド)は、ジェリーがゴルフ場で働き、主婦の母ジャネット(キャリー・マリガン)が家事をこなす姿を見て、新たな生活が軌道に乗り始めたことを実感する。ところが、ジェリーが仕事をクビになって家族を養うために山火事を食い止める仕事に就き、ジャネットとジョーも働くが、生活は安定しなかった。
私、公私ともにパートナーのポール・ダノとゾーイ・カザンが共演した『ルビー・スパークス』という映画が好きで、そのポール・ダノが製作・脚本・監督を務め、ゾーイ・カザンも製作と脚本を担当したという、映画『ワイルドライフ』は見逃すわけにはいきません。
私、上記している情報以外は予備知識なしで観たのですが、ありきたりなホームドラマで私を惹きつけてくれた作り手の才能に脱帽した。
で、上記の宣材共通デザインを見てください。キャリー・マリガンとジェイク・ギレンホールの間に空席がある。そこに座る人物がとにかく素晴らしいのですよ。
古き良き時代としていろんなところで描かれる1960年、ゴルフ場の専属コーチとして働くジェリー(ジェイク・ギレンホール)一家は、「以前いたところより良く受信するカナダの国営放送はもうかんべんして」と嘆く妻のジャネット(キャリー・マリガン)と、実は好きでもないアメフト部に籍を置く14歳の息子ジョー(エド・オクセンボールド)と3人家族で、カナダ国境近くのモンタナ州へ引っ越してきたばかり。
良き理解者でもある尊敬する父ジェリーの背中を見ながら成長していくジョーなのですが・・・。
ジェリーがいきなりゴルフ場をクビになった事がきっかけで、家族間に波風が立つようになる。
「間違いを詫びるから戻ってくれないか?」というゴルフ場の申し出を断り、プライドの高さからプチ・ニートになるジェリーを見て、なぜか自信満々で働きに行こうとするジャネットと、家計を助ける為に部活を辞め、写真館でアルバイトを始めるジョー。
家族がバラバラになり始めて余計に居場所がなくなり始めたと感じたジェリーは、なんとその地域では盛んな山火事消火の激務に志願し、家を空けるようになります。
寂しさを渇きをおぼえたジャネットは、勤め先で出会った男と仲を深めるようになってしまう・・・というお話。
このお話が少し特殊なのは、両親の重大な局面=家族が崩壊に向かう事件の現場に、14歳のジョーがことごとく立ち会ってしまっていることで、複雑怪奇な大人の事情の数々に、ジョーはひたすら翻弄される。
で、両親の離婚を望む子供はなかなかいないし、どちらの味方もしてどちらとの再会に胸を躍らせる14歳の優しき心にえらい心を私なんかは打たれてしもてね(汗)・・・。
その”人となり“を形成していくうえで、親の責任って当たり前やけど凄く重大。
自分の生き方を模索して傷だらけになるのも人生色々で自己責任やけど、親としては”子供ファースト“であるべきだと・・・いう事を、ジョー目線で描いています。
そういう繊細かつ複雑な家族の心理を、3人の素晴らしい演技と、カメラワークを含めた演出で見せている部分のいたる所に才能を感じる。
宣材に使用された真ん中が空席の写真館での一コマを見ても、いかに作り手の語り口が秀逸かを物語る、極上の一品です。逆説的なタイトルも超ナイス。
[2019年7月28日、『ワイルドライフ』、シネ・リーブル梅田③にて鑑賞]