ナニワのスクリーンで映画を観るということ。

大阪の映画好きゾンビまんです。 映画館のスクリーンで映画を観るということ。

2010年12月

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

私は本日が今年の仕事納めで、水曜日からお正月休みに入ります。
水曜日に映画鑑賞の予定があり、その映画の記事を書いてブログを一時休止しようと思っているので、本日が今年最後の旧作の紹介になります。
私が大好きな人の大好きな作品を、「アチャ~!!」という気合の怪鳥音と共に紹介しましょう。
仕事納めの後、一応、会社で忘年会を兼ねた打ち上げがあるので、早く更新しておきます。

『ドラゴンへの道』
解説:  ブルース・リーが企画・監督・脚本・主演・武術指導・ひとり5役を務めた主演第3作。知人がイタリアで経営する中華レストランがギャングの地上げにあって苦しんでいる事を知り、単身ローマに降り立つタン・ロン。彼の存在を快く思っていなかったレストランの従業員たちもチンピラたちを瞬く間に倒したタン・ロンに心酔する。だがギャングの嫌がらせとタン・ロンの防衛戦は次第にエスカレートしていく。やがてギャングのボスはタン・ロン打倒のために凄腕の空手家を呼び寄せるのだった……。


画像は『ドラゴンへの道』のチラシ・関西版新聞広告・パンフです。
この作品、簡単に言えば、上記の解説文のまんまです(汗)、だって、あの勝新太郎が、「紙芝居みたいな映画だなぁ」って評した作品です(笑)
でも、私はブルース・リーの作品の中で一番好きな作品ですわ。
この作品に関しては、私個人の事を含めて面白いエピーソードが沢山あるので、本日の記事ではその一部を紹介したいと思います。

ブルース・リーはアメリカから香港に帰国し、『ドラゴン危機一発』、『ドラゴン怒りの鉄拳』で大ブレイクするんですが、キス・シーンの演出中にドッグ・レースの中継をラジオで聴くような、両作の監督ロー・ウェイと決裂、自身でひとり5役を務めて完成させたのが『ドラゴンへの道』です。
まずタイトルがむっちゃカッコいいですね、ドラゴンへの道=ブルース・リーへの道ですよ(笑)・・・。
ひとり5役のワンマン映画なんで、リーが撮りたかった映画がどんな作品なのか、興味津々で観てみると、これが見事なコメディ演出で驚きました。

冒頭のローマの空港のシーンで、実に落ち着きなく迎えを待つリー。中国の田舎者丸出し。
迎えに来たノラ・ミャオは、店の用心棒に来たリーが、あまりにもドンくさそうな田舎者なんで、最初はバカにしてるんですね。しかもリーは、肝心な時にトイレにばっかり行ったり(これには理由がある)、ノラ・ミャオに、「ローマでは女性には笑顔で接しなさい」と言われ、街で実践した途端に美女に逆ナンパされ、部屋で服を脱がれ慌てて逃げるという(笑)・・・。
カッコいいはずのリーがボケ倒しとるわけですよ(笑)・・・ドラゴンへの道どころか、リーのイメージが崩れまくりで、「リーはコメディアンになりたいの?」って展開なんです。
タイトルバックではカッコよかったテーマ曲を、そのままコメディ・アレンジで使用しているし。
ところが、やっとリーが拳法でチンピラを倒すシーンの緊張感の凄さ。
「柔」と「剛」のコントラストが際立つ演出ですわ。
クライマックスのコロシアムで展開される、チャック・ノリスとの対決も凄いです。
野良猫の鳴き声を合図に始まる決闘は、観ていて痛みが伝わってくるような感じ。
今思えば、後のジャッキー・チェンのアクション・コメディの原点みたいな作品ですね。

有名な話なんですが、ワーナー配給の『燃えよドラゴン』の業界試写を見た東宝東和の役員が、「これはとんでもないヤツが現れた」と驚いて、香港に飛び、「ブルース・リーってヤツの映画、全部売ってください」って契約を結んだ。その時に抱き合わせで買わされ、決まっていた作品と差し替えて、慌てて封切ったのが、ジミー・ウォング主演の『片腕ドラゴン』です。
ところがゴールデン・ハーヴェストという会社が、東映からポルノ女優(池令子)を借りる契約で、東宝東和を裏切ったんですね。だから『ドラゴンへの道』だけが東映の配給で公開されたんです。
当然、東宝東和はクレームをつけます。
それに対するゴールデン・ハーヴェストの答えが、「では『死亡遊戯』を完成させてあげましょう」というモノだった。

私はこの作品、テレビ放映が初見だったんですが、放映後の学校は『ドラ道』一色(笑)・・・校庭で、階段で、廊下で、みんなドラゴン(爆)・・・。
チャック・ノリスの胸毛の代わりに、制服のボタンをちぎられていたヤツ数名(爆)
そんな最中、私と趣味が合う酒屋の息子と、友人のフリオが『ドラ道』の事で喧嘩してた(爆)・・・。この二人は面白くてね、最初は共通の話題で二人盛り上がるんですが、基本的にフリオが酒屋の息子を見下しているので、途中から喧嘩になるんですわ(笑)
『エーゲ海に捧ぐ』を、私を含む三人で鑑賞した時も、二人はくだらん事で喧嘩してたなぁ(笑)・・・。

『ドラ道』の時はね、酒屋の息子は劇場で『ドラ道』を観たらしく、「最初の空港のシーンで、腹が減ったリーがローマの店のメニューを読めず、適当に注文したらスープばっかり出てくるシーンがテレビではカットされていた」って言うんよね。劇場で爆笑のシーンがカットされていてつまらんと。
それを聞いたフリオがね、「ブルース・リーがそんなマヌケな事するわけがない。今、お前が適当に考えたやろ?」って(笑)・・・言われて、熱く反論する酒屋の息子に、フリオは「リーをマヌケ扱いされて許せん」とばかりにまわし蹴りを食らわして逃げよった(爆)・・・酒屋の息子は怒ってフリオを追い掛け回すんですが、デブで足が遅いから半泣きで酸欠状態になってました(笑)・・・。
酒屋の息子は私に言いました、「スープのシーンがあるから、後のシーンでリーはトイレにばっかりいくねん」って・・・知らんがな(爆)・・・。

でも数年後、完全な形で『ドラ道』を観たフリオが私に教えてくれました。酒屋の息子が言ってた事は真実やったと(笑)・・・。
「お前・・・あん時まわし蹴り入れてたで・・・酒屋の息子、半泣きでお前の事追いかけてたな」って、私がフリオに言うと、フリオは高らかに笑い飛ばした挙句、「テレビでやってないもんはないねん。でも・・・ホンマにスープだらけになってて笑ってもうたわ」って、また高笑いしてました(爆)・・・。やれやれ・・・。

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

イメージ 4

昨日は久々に嫁さんと二人で、大阪ミナミに買い物に行きました。
途中、大阪でも最大規模の大型書店に寄り、欲しい本だらけの中から私が選んだ本が、画像の「映画トラック野郎大全集」でした。
資料満載の本でまだ読み始めたばかりですが、私の大好きな鈴木則文監督が、自ら監督したシリーズ全10作を語っている、大変面白い本です。
本日は、昭和50年代前半の、東映の盆暮れ興行を支えた花形番組、「トラック野郎シリーズ」の感想を書きたいと思います。

『トラック野郎』シリーズ
『トラック野郎』は、1975年~1979年に東映で(全10作)製作・公開した、日本映画のメインタイトル。トラック野郎シリーズの大ヒットにより、電飾で飾りペイントを施したアートトラック(デコトラ)が公道でも目だって増え、菅原文太が乗るトラックを模したプラモデルが子供たちの間にも大ヒットする等、映画の枠を超えた社会現象となった。
主演はプライベートでも大親友という菅原文太、愛川欽也。煌びやかな電飾と極彩画に飾られた長距離トラックの運転手、一番星桃次郎とヤモメのジョナサンが巻き起こす、アクション・メロドラマ・お色気・下ネタ・笑い・人情が渾然一体となった大衆娯楽活劇である。監督は奇才かつヒットメーカーで菅原とは無名時代からの友人でもある鈴木則文。


以前の記事でも書いたんですが、私が映画に興味をもった昭和40年代の後半のお正月映画といえば、洋画では『007シリーズ』、『ジョーズ』、『キングコング』『エマニエル夫人』『燃えよドラゴン』などがヒットし、邦画は各社が直営館を持っていたので、各自がヒット・シリーズでお正月興行を彩り競っていました。
東宝はゴジラのチャンピオン祭りから百恵・友和の黄金コンビの作品、松竹は寅さんの『男はつらいよ』シリーズ、そして昭和50年から東映のお正月番組に定着したのが『トラック野郎』シリーズでした。
シネコン時代になり、昭和時代の邦画の上映体系が崩れたんですが、今年は東宝が『ヤマト』、東映が『相棒供戞⊂消櫃盧廼瓩泙任蓮◆慊爐螢丱日誌』という作品で、お正月興行を飾っていました。
邦画に人気シリーズがあるというのは嬉しいものです。

私、自分が働くようになって気付いた事は、地方出身の方って、圧倒的に『男はつらいよ』シリーズを支持するんですよ・・・「寅さんを観ないと、お正月気分を味わえない」って方が、私の周りにも沢山いました。
でも私を含め、コッテコテの関西人が圧倒的に支持したのは『トラック野郎』シリーズでしたね。
『男はつらいよ』シリーズって、山田洋次監督の人情喜劇で、きめの細かい人間描写など、どこか高尚な香りただよう上品な大人の喜劇って印象が私なんかは強い。
まさに「松竹新喜劇」って感じ?・・・。
対する東映のプログラム・ピクチャー路線で作られた『トラック野郎』シリーズって、まず品の良い作品を制作するという意思が感じられず(爆)、とにかく劇場でウケたらいいっていう、笑いの為には手段を選ばないアナーキー精神が最高のシリーズでした。
コッテコテの「吉本新喜劇」のノリですわ・・・。
馬鹿馬鹿しいを超えて、アホ丸出しの展開にひたすら興奮できたシリーズでした。

シリーズ全作を監督された鈴木則文という方、私は好きやね~。
『ドカベン』、『パンツの穴』、『童貞物語』とか・・・『パンツの穴』なんて、最後は登場人物達が青空の下でウ○コまみれになっていますからね(爆)・・・。
私なんて、年齢を重ねて、ますます山田洋次監督の良質の人間ドラマを理解できる域に自分が到達しているのに、私の本能は鈴木則文監督のアナーキーな笑いを若返って求めてしまう。今の時代、山田洋次の喜劇は健在でも、スクリーンの中でウ○コは飛び散りませんもん(爆)・・・。

菅原文太演じる桃次郎が、毎回登場するマドンナに一目惚れするんですが、惚れた瞬間にマドンナの顔の周りに☆がキラキラなんて描写、赤ちゃんが観ても何を訴えているのか分かりますよ(爆)・・・シリーズを重ねる度に、ジョナサンの家に子供が増えているとか(笑)、分かりやすいにもほどがあるギャグと、下ネタの嵐(笑)・・・。
小野みゆきがマドンナだった作品でこんなシーンがあった、・・・桃次郎は、女に惚れると気に入られたい為に少しインテリ口調になるんです(笑)・・・牧場で、小野みゆきが桃次郎のライバルの男と牛の乳搾りをしていて、「もっと優しく」とか「そう、いいわ」とか、ややこしい会話をしている(爆)。
二人は真面目に乳搾りをしているんですが、影で会話だけ聞いていた桃次郎は勘違いして、小野みゆきに詰め寄る・・・「今何してた?」という桃次郎に、小野みゆきは、「アレ?(乳搾り)・・・あんた、アレが好きなの?そんなに好きなら、やらせてあげてもいいけど」って、すると桃次郎、超真面目に、「アレ(エッチ)が嫌いなヤツがどこにいますか!!」って(爆)・・・。熱く訴えるなよ(爆)・・・。
私は『まむしの兄弟』からの、文太さんのコメディ演技が大好き。
(『まむしの兄弟』では、川地民夫の「軍人が怖くて、人参が食えるか!」って名セリフがあったな(笑)・・・)

本によると、『トラック野郎』の企画は、愛川欽也がラジオのDJをしていた時に、長距離ドライバー達の絶大な支持を受け、彼らの熱き思いを映画にしたくて自ら持ち込んだ企画だそうです。
鈴木監督が映画化にあたり、ひとりのドライバーに密着して取材したらしいですわ。
バーストしたタイヤの破片を、「後に走ってくるドライバーの迷惑になる。街道仁義は守らなきゃ」って懸命に拾い集めるドライバーの姿に感動したらしい。そのドライバーのトラックの箱絵には、葬式用の花輪が描いてあったそう。監督が、「縁起が悪いんじゃないか?」って言うと、ドライバーは、「かえって厄除けになっていいんですよ」って答えたって。
ところが、監督が取材を終えて10日ほど経過した日に、そのドライバーはスリップ事故で亡くなったそうです。
監督はショックを受けた。当初、長距離トラッカーの過酷な部分を取り入れ、リアルな人間像を描こうと思っていたそう。でも、亡くなったドライバーが取材中に、終始、「楽しい映画、面白い映画を作ってよ」って話していたから、その気持ちを尊重しようと思ったそうです。

ペキンパーの『コンボイ』でも描かれていましたが、長距離ドライバー達は誇りと共に街道仁義を守り、仲間同士助け合い、強い絆で団結しています。
「情に熱い世界」を描いたという意味で、『男はつらいよ』シリーズと並んで、お正月を温かく盛り上げてくれた『トラック野郎』シリーズ・・・私は大好きです。

画像は本からコピーしたポスター3種と、「映画トラック野郎大全集」です。

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

本日は買い物と我が家のプチ大掃除の為、私は映画鑑賞の予定がございません。
先の更新で紹介した大阪の映画館「阪急プラザ劇場」で、私が鑑賞した作品を紹介します。
他所から転載の解説・あらすじに作品の内容案内を委ね、私は鑑賞時の感想を書きたいと思います。

『チャンプ』
解説:  かつてのボクシング・チャンピオン、ビリー・フリンは、妻と別れてからツキにも見放されタイトルを失い、今は競馬場に勤務して一人息子とどうにか生活していた。息子のT・Jは、それでもいつの日か栄光の座に戻る日を夢見てトレーニングを続けている父親を尊敬し、パパと呼ばずに“チャンプ”と愛称で呼んで、父が再びチャンピオンの座に返り咲く日がくるのを信じて疑わなかった。そして彼は、そんな息子の期待に応えようと再びリングに登ることを決意する……。涙なしでは観られない感動物語。

あらすじ:ボクシングの世界チャンピオンだったビリー(ジョン・ヴォイト)は妻に逃げられ9歳の息子とふたり暮らし、酒とギャンブルに溺れる毎日を送っている。それでも息子のT.J.(リッキー・シュローダー)だけは今でもビリーを「チャンプ」(チャンピオン)と呼んで慕っている。そんなある日、ビリーは別れた妻のアニー(フェイ・ダナウェイ)と再会する。 ファッションデザイナーとして成功している彼女を見て、ますます自分が惨めになったビリーは、ギャンブルに負けて多額の借金を作ってしまう。その上ケンカをして警官を殴り留置場に入れられる。ビリーはT.J.に、母親のアニーと暮らすよう言うのだが、T.J.はビリーの元へ帰って来てしまう。 ビリーはT.J.のため、もう一度ボクシングでチャンピオンになる事を決意するのだった。 37歳という年齢とも戦いながら、厳しいトレーニングを続け、ついにタイトルマッチのゴングが鳴った…。

画像は『チャンプ』のチラシ・関西版新聞広告・パンフです。
この作品、上映終了後に、一緒に鑑賞した友人のフリオが、「しょうもない」って斬り捨てた作品です(汗)・・・私もボクシングの映画を期待しての鑑賞でしたので、正直眠たい作品でした・・・当事私は中学生でしたので、私もフリオも、この作品を理解して感じるには幼すぎました。
今、この作品を観たらヤバいですね。私は絶対に泣くと思いますわ。
ダメ親父を尊敬する健気な息子と、そんな幼い息子の為に立ち上がる父親の感動物語。
この作品、子役のリッキー・シュローダーが上手すぎて、ジョン・ヴォイトもフェイ・ダナウェイもかなり食われていましたね。常に劇場内にはリッキー少年の、「チャンプ!! オ~マイ・チャンプ!!」って子供特有のカン高い声が響きわたっていました。
確かこの作品は初日に学校が終わってから劇場に行ったら、広い阪急プラザが立ち見の超満員で、入退場時の人の混雑が凄かったのを憶えています。

この作品で印象的だったのが、前売券を買った時に『チャンプ』のオリジナル・ハンカチをもらった事。「このハンカチで感動の涙を拭いてください」みたいな事がプリントされていたような記憶がある。
近年は前売券を買うと、必ず何か特典が付いてきますが、『チャンプ』公開当事は珍しかったですね。
後、公開中の阪急プラザ劇場のロビーに、女性専用の「お泣き室」が設けられた事(爆)・・・私が鑑賞した時も、終映後に女性が「お泣き室」に入っていく姿を見ました。
私がフリオに、「なんで周りがみんなその辺で泣いてるのに、わざわざ「お泣き室」に入って泣くんやろな?」っていうと、フリオは、「化粧取れるからやろ。さっきも化粧とれてきったないドロドロの顔になってるオバハン見たわ」って(爆)、「座頭市みたいに前が見えてへんオバハンもおった」って(爆)・・・私、「なるほどな」ってフリオの説明にひたすら感心していましたね。
宣材のいたる所に、「この映画は終映後、しばらく明かりは点きません」ってコピーがあり、『チャンプ』を観て泣けない人は人間のクズみたいな(笑)・・・ひたすら「泣ける」という事を宣伝していた作品でしたね。

「終映後にしばらく明かりは点きません」というもの、70年代当事ならではだと思います。
今の映画はエンドロールが長過ぎますからね。昔の映画はエンド・マークが出て速攻で終わりでしたから・・・。
今年、「午前十時の映画祭」で『男と女』を観たとき、ラストで主役の二人が抱き合い、「ダバダバダ♪ダバダバダ♪ダ~バ~ダ!♪」って、いきなり終わって場内に明かりが点いたんです。エンドロールなし。明るくなって、周りのオールド・ファンの顔を見たとき、急激に素に戻されて、凄く冷めた思いをしたんですよ。
映画の世界に浸り、余韻を楽しむという意味で、終映後のしばらくの暗闇は必要やと思いましたわ。

[1979年、7月7日、『チャンプ』・阪急プラザ劇場にて鑑賞]

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

イメージ 4

イメージ 5

イメージ 6

イメージ 7

イメージ 8

イメージ 9

イメージ 10

本日は懐かしい大阪の映画館を紹介するんですが、私が愛してやまない映画館のサイトで、「まぼろし映画館」というサイトがあります。
そこに掲載されている阪急プラザ劇場の最後の日の姿を撮影した写真をどうしても私のブログで紹介したくて、「まぼろし映画館」の管理人さんに掲載許可をお願いしたところ、写真の持ち主と連絡が取れない状態でして、管理人さんにご検討していただき、掲載の許可をいただきました。
Yさん、ありがとうございました。
この記事で紹介する画像は、全て「まぼろし映画館」からの転載です。

大阪・梅田の阪急電車の駅の下に、阪急プラザ劇場という大劇場がありました。
私が初めて阪急プラザで映画を観たのは『グリース』でした。
70mm方式による「D―150」という湾曲大型スクリーンで上映されていた『グリース』に、私はすっかり魅了され、同時に、劇場玄関を派手な装飾で飾り、豪華な雰囲気に浸る事ができた阪急プラザという大劇場の虜になりましたね。
映画を鑑賞する機会は少なかったんですが、劇場前の装飾を見に、よく劇場の前には通いました。中でも印象に残るのが、「ベルサイユのばら」公開時に劇場前に展示された、お菓子で出来たベルサイユ宮殿でした。

シネラマОS劇場と並ぶ、関西の名物劇場でしたね。
私、こればかりは説明できないんですが、阪急プラザの匂いが大好きでした。
いつも清潔感のあるシャンプーみたいな香りが漂っていまして、今でもたまに街の建物内で同じ匂いに遭遇する事がある。消毒液の香りなんかな?・・・その匂いを嗅ぐたびに、阪急プラザの思い出が甦ります。
とても広い劇場で、椅子の幅も他の劇場よりは広かったですね。
この劇場は上を走る阪急電車の振動がしたと、よく言われるんですが、私は気にならなかったというか、劇場の音響が迫力ありましたので、気付かなかったです(汗)・・・。

私が阪急プラザで鑑賞した作品を並べてみますと・・・。
『グリース』、『オーメン2・ダミアン』、『ベルサイユのばら』、『チャンプ』、『チャイナ・シンドローム』、『オフサイド7』、『カランバ』・・・。
どの作品も思い出深いんですが、最初の『グリース』と、観客が女性だらけで恥ずかしい思いをした『ベルサイユのばら』が強烈な思い出として残っています。

この大劇場の意外なところは、たった15年で閉館してしまった事ですね。
分かっていたら、もっと劇場に足を運んでいたかもしれません。
「美人薄命」って言葉がぴったりの劇場でした。

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

イメージ 4

イメージ 5

イメージ 6

イメージ 7

イメージ 8

本日はお昼から梅田で映画鑑賞してきました。昨日の時点で席が埋まっていたので、さぞ映画館は人で溢れているのかと思いきや、私が到着したお昼はロビーがガラガラで拍子抜けしました。ちなみに外は死ぬほど寒く、大阪は雪がパラついていました。
私が映画鑑賞した場内は完売の満員で、私は前から2列目の席で鑑賞・・・そんなに前の席で鑑賞するのは随分久しぶりで、視界にスクリーンが収まりきれていません。
あらためて、映画館のスクリーンって大きいんやなぁ・・・って感じました。
隣の席の中年のバカップルにむかつきながらの鑑賞スタートやったんですが、映画が素晴らしかったので、最高の気分で劇場を後にできました。
ちなみに、映画終了後にロビーへ出ると、人を掻き分けなければならない程の大混雑でしたわ・・・。


『バーレスク』
解説: 歌手を夢見るヒロインがロサンゼルスのクラブで働き始め、次第にその才能を開花させていくサクセス・ストーリー。世界レベルの人気を誇るアーティスト、クリスティーナ・アギレラが映画初出演で主演に挑み、圧倒的なパフォーマンスで魅了する。ヒロインを雇うクラブのオーナー役に、『ふたりにクギづけ』以来約7年ぶりの映画出演となるシェール。世界のショウビズ界を代表するディーバの豪華共演に注目だ。

あらすじ: 歌手になる夢を追い掛けているアリ(クリスティーナ・アギレラ)は、セクシーなダンサーたちが毎夜ゴージャスなショーを繰り広げているロサンゼルスのバーレスク・クラブで働くことに。オーナーのテス(シェール)のもと、たぐいまれな歌唱力と傑出したダンスの才能を花開かせていくアリは人気者となり、クラブは盛況を極める。


画像は『バーレスク』のチラシ・パンフと、本日の映画館の様子です。
この作品は、映画館で予告編を観て、クリスティーナ・アギレラのパワフルな歌声に一発で魅了され、前売券を買った作品でした。
予告編を観た印象では、私の大好きな『コヨーテ・アグリー』と、『ショー・ガール』を足して割ったような作品かな?って印象でしたが、ある意味私の印象通りの作品でした。ただ、登場人物にこれといった悪人が登場せず、アクの強い『ショー・ガール』のようなえげつない衝撃度は薄い作品で、私好みのクリーンなサクセス・ストーリーでした。

私ね、オスカーに輝いた作品で、唯一眠くて仕方がなかった作品が『シカゴ』。
ミュージカルは嫌いではないんですが、ショーを見せる映画で、舞台の生の臨場感を映像で伝えるのは無理があるんですよ。よほどのパフォーマンスの凄さと、歌い手のオーラが醸し出すマジックを捉えなければダメ。
『バーレスク』でも、後半にリハと称してシェールが1曲丸まる歌う場面があるんですが、唐突かつ物語の流れを中断させてしまう、ミュージカル映画の陥りがちな欠点が唯一露見した場面でした。シェールの歌は素晴らしかったですが・・・。
歌と良質のドラマのバランスが難しいジャンルがミュージカルだと思います。

でも、この『バーレスク』という作品、私は個人的に『シカゴ』の100倍は面白かった。
映画を観た人にしか分からないんですが、ヒロインと恋に落ちるバーテンの曲がラストまでに陽の目を見た暁には、最高の着地点を迎える綺麗な脚本やと思って観ていたら、この作品は見事に着地を決めた。ナタリーの事を含めてね(爆)・・・。
全ての伏線を回収して、特に誰かを傷つける事もなく、綺麗にまとまりすぎた感もあります。

でも、田舎から夢を抱いてロスのクラブで努力するヒロインのアリの描写は凄く面白い。
人が何に心を動かされ、どうしたら認められるのか?って部分が凄くアリを通して描かれているんです。・・・アリの才能はもちろんなんですが、謙虚な行動力と努力に凄く感情移入できます。夢しか直線で追っていない人のピン・ポイント処世術(笑)。

この作品のハイライト、アリがようやくライバルの代役として急遽舞台で踊り、ライバルの嫌がらせで音を消された時、アリはとっさにアカペラで歌い、驚異的な歌唱力で全ての人を魅了してしまう。
序盤のシーンでアリは言う、「口パクの歌では感動を伝えられない。生で歌を披露すべき」だと。そうなんです、加工された音楽では、単にクラブでひと時を過ごしに来た人の心をステージに惹き付けられないという事を、この作品の作り手は理解しています。
とっさにアカペラで歌えるというアドリブ・・・アドリブってその人の生きざまと経験値が出る。
冒頭の田舎のウェイトレス姿のアリの歌の場面が生き、アドリブについていくバンドが、それまでのさりげないシーンで音合わせしているシーンまでもが、アカペラのアドリブ・シーンで集結している・・・観ていて鳥肌の立つ、珠玉の名シーンでしたね。
私、バンドで音楽活動をしているのに、アリを演じたクリスティーナ・アギレラという人を知らなかったんです。映画が初めてらしいですが、この人の演技とパフォーマンスは凄く私の心にダイレクトで響きましたよ。・・・凄い才能の持ち主ですね。

この作品でもうひとつ私が魅了されたのがシェールです。この作品の真の主人公。
『イーストウィックの魔女たち』『月の輝く夜に』『容疑者』など、この人の作品を私が劇場で観ていたのは80年代です。・・・『バーレスク』のシェール、全然外見が変わらない・・・驚異ですよ。ひょっとしてシェールって、不老不死のヴァンパイア?(笑)・・・たとえ整形だとしても凄いですよ。
顔が何度もアップになるんですが、全然昔と同じ。いつも何かをくわえていそうなエロい口元も健在(爆)・・・。
映画の撮影メイク室で、「今日はジェイソンのホッケーマスクと、『猿の惑星』のコーネリアス、あと、シェールのマスクね」っていうくらい、変わらない決まった顔ですよ(爆)

写真でピックアップするとキツく見えるシェールなんですが、その演技と存在感は凄く魅力的です。
『バーレスク』でも、歌と踊りと自分の店の全てを愛するクラブのオーナーを演じています。
凄く包容力を感じる優しい演技で、アリの歌を聴いて、「あの歌は苦労を知らないと歌えない歌」っていうセリフと演技で、オーナーの純粋な生き方をも感じさせる芝居はクリスティーナ・アギレラの健闘すら超えていました。
スタンリー・トゥッチ、ピーター・ギャラガー、クリスティン・ベルなどの脇役達も、みんな魅力的でした。
アリとバーテンのラブ・ストーリーと、ヒロインの「そこまでカマトトで大丈夫?」ってキャラが甘ったるいですが、「空中権」なる地上権を用いた痛快なラストまで楽しめた快作でした。
ドラマとミュージカル・シーンのバランスも良かったです。

[2010年、12月25日、『バーレスク』・TOHOシネマズ梅田・シアター6にて鑑賞]

↑このページのトップヘ